国の特別天然記念物で絶滅の恐れがあるライチョウをめぐり、環境省は7日、今季は中央アルプスで83組のつがいを確認したと発表した。前年の約1.5倍にあたる約190羽が繁殖しているとみられ、分布域が広がって順調に個体数が増えているという。
中央アルプスでは1969年を最後にライチョウの目撃情報が途絶えていたが、2018年、北アルプス方面から飛来したメス1羽の生息が確認され、環境省の「復活作戦」が始まった。北アルプスから家族を移送したり、動物園で繁殖した家族を放したりして、年々生息数が増えた。
信越自然環境事務所の福田真専門官は「ヒナを連れているメスを見かけたら5メートル以上距離をとって、そっと見守ってほしい」と呼びかけている。成長したヒナは10月ごろ親離れするという。
「飛来メス」の繁殖も確認
一方、復活作戦のきっかけとなった「飛来メス」も5年連続で繁殖が確認された。野生のライチョウの寿命は長くて10年ほどだが、少なくとも10歳を超えているとみられる。福田さんは「飛来メスは中央アルプスを象徴する1羽で、生き残っていてくれてすごくうれしい」と顔をほころばせた。
今後、中央アルプスが正式にライチョウの生息地の一つとして認められれば、環境省のレッドリスト上でも絶滅の危険性のランクを下げられる可能性があるという。